カリフォルニア州では、不動産を売買する際、買い手が決まって契約にサインしてから実際に不動産が売れるまでの間、その不動産は「エスクローに入っている(In Escrow)」という言い方をします。その間、エスクロー会社は買い手から手付金(通常は購入価格の3%。頭金の一部)を預かり、住宅ローン会社とのやり取りをはじめ、様々な売買に関する事務処理を行います。

エスクロー期間は南カリフォルニアの場合は30日~45日間が普通です。その理由は住宅ローンのプロセスにこれくらい時間がかかってしまうからです。買う家が決まったことをローン会社に伝えると、まず初めの10日~2週間程度でローン会社は購入物件の価格を査定します。次にもう一度バイヤーの収入等を精査し、ローンがおりることが確実になるまでに概ね3週間程度かかります。その後、Closing Disclosureと呼ばれる費用の明細が発効され、住宅ローンの書類にサイン、ローン会社からエスクローに資金が振り込まれるまでまた1週間程度かかり、合計すると1か月ぐらいなります。i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i

ただし住宅ローンのプロセスにかかる時間はローン会社やローンの種類によっても異なります。会社によってはあらかじめUnderwriter Reviewと呼ばれるバイヤーの収入等の精査をしてしまっておき、価格の査定結果が出たら数日で資金を送ってくることができるところもあります。この場合は15日程度でクローズすることも可能になります。

全部現金で不動産を購入する場合はエスクロー期間7~10日程度でクローズすることも珍しくありません。上記の15日でクローズできる超特急の住宅ローンは、現金買いのバイヤーとの競争に勝てるようにローン会社が努力した結果で、最近ではさほど珍しくなくなってきています。

これとは反対に、ローン会社によっては手続きに45日必要なところもあります。(特に組織が大きい大銀行に多いように思われます。)またConventional Loan 以外のローン、買い手が自営業で収入の証明が一筋縄ではいかない場合などは、ローン会社に必要な書類をそろえて出すのに長期間を要することもあります。(最近では3か月間かかった例がありました。)

エスクロー期間は短い方が売り手に喜ばれることが多いですが、必ずしもそうとは限りません。売り手が45~60日程度のエスクロー期間希望することもあります。

不動産がエスクローに入っている期間のうち、初めの数週間はコンティンジェンシー期間(Contingency Period)と呼ばれ、買い手は契約で決められた条件に従って購入を取りやめることが可能です。この中でLoan Contingency Periodと呼ばれる期間が最も長く、通常は2~3週間です。この期間内であれば、万が一ローンがおりないことが分かったらバイヤーは購入をキャンセルすることができます。

売り手の側からみると、30日エスクローの場合は家が売れることが確定(=ローンコンティンジェンシー期間が終了)してから、実際に家を明け渡すまで10日程度しかありません。特にまだ売り手が家に住んでいて、家の片付けが終わっていない場合、引っ越し先が決まっていない場合などは、コンティンジェンシー期間はできるだけ短く、エスクロー期間は長く設定した方が売り手は楽になります。

ということなので、家を購入する場合は、売り手ができるだけ短いエスクロー期間を望んでいるケースにも対応できる、あらかじめUnderwriter Reviewをしてくれる ローン会社を選んでおく方が有利だと思います。特に自営業の方はローンオフィッサーだけではなく、実際の審査を行うUnderwriter に必要書類をすべて見てもらっておく方が安心です。Underwriterから取り寄せるのに時間がかかる思わぬ書類を要求されることもあるからです。

逆に家を売る場合は、荷造りはリスティング以前から進めておき、最も一般的な30日エスクローに対応できるようにしておきましょう。これよりも長いエスクロー期間が必要な場合は、家の売り出し時に「エスクロー期間は何日間を希望するのか」をあらかじめバイヤー候補に知らせるのがいいと思います。