オファーが認められて、契約書への双方のサインが終わったら、まずデポジット(Earnest Money Deposit, EMDと呼ばれる)をエスクローをつかさどるエスクロー会社に送金します。このデポジットは3日以内(ウィークデイのみカウント)にエスクローの口座に到着していなければならないので、送金は契約が終わったらできるだけ早く行った方がいいと思います。(エスクロー期間、売り手と買い手が契約にはいってから実際に不動産の権利が移転するまでの期間、は約1か月あります。)

デポジットの金額は契約で決めますが、カリフォルニアの場合は通常購入金額の3%です。つまり、$700,000で契約した場合は、その3%の$21,000を振り込みます。i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i

このデポジットはエスクロー期間中はずっとエスクロー会社が特別なアカウントに預かっておき、エスクローが終了するときに頭金の一部として使用されます。つまり購入額が$700,000で頭金が10%だった場合、エスクローが終了する直前にバイヤーがエスクロー会社に振り込む金額は、$49,000 ($700,000 x 0.07) + クロージングコストになります。

いい家が見つかったら、このデポジットはすぐに振り込まなくてはならないので、家をさがしている時はその分の資金をすぐに使えるようにしておいてください。

このデポジットはバイヤーが“契約に従って購入をキャンセルした場合は、バイヤーに返却されます。(契約には「このような場合はこの期間内ならキャンセルしてよい」というコンティンジェンシー条項が定められています。)エスクロー会社等に経費が生じた場合(コピー代、送料など)は差し引くことになっていますが、計算が面倒なので通常は全額返ってきます。

デポジットの返却は「契約をキャンセルする。デポジットは返却する。」と書かれた書類にバイヤーとセラーがサインしてから行われます。セラーがこの書類へのサインをしなかった場合は、デポジットはエスクロー会社から動かせないことに理論的にはなってしまいますが、私のこれまでの経験ではそのようなことは一度もありません。バイヤーが契約に全て従っている場合、デポジットを返す書類にサインをしないとセラーが契約違反をしていることになってしまいます。また現行のエスクローをキャンセルしないことには、他の人に家を売ることもできません。

ただしセラーが高齢でインターネット上でサインができない、たまたま旅行に行っていた、契約内容が理解できていなくて説明に時間がかかる、などでサインが遅れることはあります。契約をキャンセルした場合、9割程度はすぐにデポジットが返却されますが、返却が遅れることも稀にはあることをご理解ください。

また最近は、このデポジットをだまし取る悪質な詐欺事件が起きていますので、注意が必要です。オファーがアクセプトされて契約に入ると、エスクロー会社からWiring Instructionsというタイトルの書類がEメールで送られてきます。それには振込先の口座番号などが書かれていて、この書類をもって銀行に行き、金額を言えば送金できます。ところが詐欺集団は、エスクロー会社のEメールシステムをハッキングし、エスクロー会社が書類を送る前に偽のWiring Instructionsを送付してくるらしいです。口座番号は書き換えられているので、この偽の書類を信じて送金すると、詐欺集団の口座にお金が行ってしまいます。このような事件は多数起きているそうなので、送金する前には必ずエスクロー会社の担当者に電話をして、口座番号を再確認してください。エスクロー会社に電話をするときには、メールに書かれている電話番号をエスクロー会社のホームページなどで確認してからかけてください。