住宅を購入する際、オファーが売り手に認められ、契約期間(エスクロー)に入ったらまずやることの一つが、購入する住宅の建物検査です。通常は、この検査で何か重大な問題があった場合は、契約のキャンセル、あるいは値引き交渉が可能になります。
基礎、下水、屋根、暖炉、冷暖房、電気系統など、住宅にはいろいろなパーツがあり、それぞれに対して専門のインスペクターがいますが、パーツを個々に全部検査するのではお金も時間もかって大変です。そこで一番初めにGeneral Inspection(ゼネラル・インスペクション)と呼ばれる、広く浅い全体的な調査を行い、どこかに問題があると指摘された場合のみ、その部分の専門的検査であるSpecial Inspection(スペシャル・インスペクション)を行うのが普通です。アメリカでは病気になるといきなり専門医には行かず、まずはPreimary Care Doctorに行って診断を受けた後、専門医を紹介されると思いますが、建物検査もそのシステムと似ていると考えていただけると分かりやすいと思います。i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i
売買の仲介をするバイヤー・エージェントがインスペクターを紹介してくれると思いますが、自分で探してきてももちろん構いません。その際はASHI(Amerian Society of Home Inspectors)、 CREIA(California Real Estate Inspection Association)、 InterNACHI (International Association of Certified Home Inspectors)などのきちんとした協会に所属しているインスペクターを雇うようにしてください。
住宅の広さにもよりますが、General Inspectionには1時間から3時間ぐらいかかります。契約中とはいえ、他人の所有物である家を調査するので、インスペクターは原則的にはカーペットや家具などの私物を動かしたり、ねじを外すなどして建物や内部の現状を少しでも変えてしまうことはできません。アクセスできる場合は床下に入ったり、アプライアンスや冷房を動かしたりはできますが、あくまで家の中を目で見て(Visual Inspection)分かる範囲の調査になります。調査の前には不動産エージェントを通して、電気ガス水道が使える状態になっているか、ドアに鍵などがかかっていないか、ドアや電気、冷暖房を操作するリモコンがわかるところにあるか、給湯器などの口火がついているか、屋根裏や床下へのアクセスはどこかなどを確認し、動かす必要がある私物があればその許可を取っておくことが大切です。
初めから終わりまで調査に立ち会う購入者が多いですが、忙しい場合は立ち合いは不動産エージェントに任せて構いません。ただし調査の最後にインスペクターが口頭で調査結果を説明する際には、現場で説明を聞くことを強くお勧めします。
建物調査をすると、どんなにコンディションのいい家でも問題点が何十か所も出てくるのが普通で、報告書にはそれらが写真付きで列記されます。慣れない人が報告書だけを読むと、どの家も問題点だらけで驚くと思います。ただしそれらの問題点は同質ではありません。インスペクターが口頭で説明する時には、それらの問題点を「直さなければ危ない大問題」、「正しくはないけれど、他の多くの家でもこうなっているほとんど気にする必要のない問題」、「直した方がいいが、簡単に安く治せる問題」などに仕分けして説明してくれますので、家のコンディションを正しく理解することができます。また、専門インスペクションをした方がいいのかどうかもアドバイスしてくれます。