簡単に言うと、リスティング価格とは「だいたいこれくらいの価格以上で売れてほしい。」と売り手が希望している価格です。不動産は定価で販売されるわけではないので、買い手は、売り手の希望を考慮に入れた上、どのような値段を提示しても構いません。
不動産売買で最も重要なのはリスティング価格ではなく、マーケット価格(価格の相場)です。その理由は、リスティング価格とは単なる希望であって、それがいくらであっても不動産は結局はマーケット価格で売れていくからです。リスティング価格が高いと買い手がつくまで値下げすることになり、リスティング価格が低いと買い手が複数集まるので値段が上がり、不動産は最終的には相場で売れていきます。不動産を買うときは、リスティング価格にはこだわらずに、その不動産のフェアな価格であるマーケット価格のオファーを出すのが基本です。i i i i ii i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i
「ものすごく安く売りだしている家を見つけました!」と喜ぶバイヤーさんがいたり、「安く売りだしている家を探してください。」と頼まれたりすることがあるのですが、実際は安く売りだされた家を安く買えるわけではありません。最終的な売値は相場価格になるので、リスティング価格が安い家を探すことには、ほとんど意味がないのが実情です。それよりも、自分に必要な条件を備えていて、かつ相場価格が予算内の家をはっきりとイメージし、そのような家が現れたらリスティング価格は頭の隅に置くだけにして、どの家も相場の価格で売れるものとして検討するのがいいと思います。
例えば、「なるほど、いろいろな物件を見たところ都心から15分のこの地区に住む場合、私の予算である$850,000が相場の家とは、内部が古くて台所もリモデル必要、セントラルACも無い物件なのだな。でも3寝室2バスルームは確保できそうだ。その中でリビングルームが南面していて窓が大きい家を探そう。」と決める。ある日上記の条件に合う家が$750,000で売り出されているのを見たら、「ああ、この家は安く出ているが、どこかに欠点があるか、たくさんオファーが集まって結局最終的には$850,000になるのだろうな」、またすっかりリモデルされた素晴らしい一戸建てが$840,000で出ていても、「この家は相場よりもずっと安くでているな。結局は予算外の値段で売れていくのだろう。」と平常心で考える、といった具合です。
こう書くと「それならリスティング価格には何の意味もないのでは?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。多くの場合、家の販売を仲介するリスティングエージェントは、マーケット価格を精査し、それよりもやや低い価格を販売価格にします。ですので、家を見始めた当初はとりあえず「例外は多々あるが、ほとんどの家のリスティング価格は概ねマーケット価格なのだろう」と考えて検討を始めていいと思います。
また、リスティング価格によって、売り手の態度が分かります。リスティング価格が高い物件の売り手は、売る気があまりないのかもしれません。明らかに高すぎるリスティング価格を提示する売り手は、「万が一高値で売れたら売るが、売れなくても全く構わない」と考え、市況とは関係なく自分の都合で最低販売価格を設定してしまっている場合があります。このような物件にマーケット価格のオファーを提出しても、価格を下げさせるのは非常に難しいことが多いです。
逆にマーケット価格に比べてリスティング価格が低い物件の売り手は「売る気満々」で、リスティングエージェントのアドバイスにもちゃんと従っていると想像され、取引がスムーズにいく確率が高そうだと予想されます。このようなお得感のある物件と、前向きな売り手の元には多くのバイヤーが集まり、最終的な販売価格はリスティング価格を大きく上回ることが多々あります。家を売る場合は、リスティング価格はできるだけ低めにし、このような「売る気満々」の売り手であると見なされた方が有利だと思います。