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2021年4月からカリフォルニアではProposition 19と呼ばれる、55才以上の人(および特定の身体障害がある人など)が家の買い替えを行った際に固定資産税が上がらないようにする制度が始まりました。以前もこれに似た限定的な制度(Prop60/90)があったのですが、Prop.19は州全体に適用される本格的なものになっています。

Proposition 19が何かを説明する前に、まず1978年に施行されたProposition13について簡単に説明したいと思います。固定資産税を決める際のベースとなる評価額は、以前は周辺の売買価格などを参考に毎年変更されていました。ところがカリフォルニアでは地価がどんどんと上昇。それに従って固定資産税額も上昇し、税金が払えない人も出ていました。そのような事態への反発として住民投票によりProp.13が制定されました。Prop.13の内容を簡単に説明すると以下です。 i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i ii i i i i i i i i i ii i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i

1.固定資産税の評価額は不動産購入時のマーケット価格(通常は購入価格)とする。(固定資産税率は1%)

2.その後の固定資産税評価額の上昇率はインフレ率とするが、年率2%を上限とする。

つまりこのProp.13により、不動産価格がどんなに上昇しても、固定資産税は2%しか上がらないことになりました。カリフォルニアでは不動産価格が年10%以上上昇することも珍しくないので、長く不動産を所有するほど、時価と評価額の差が開いていきます。その結果、Prop.13が施行されてから45年経つ現在では、時価2ミリオンドルなどの高額な家でも、昔安く購入した場合は評価額は$250,000程度で、オーナーは非常に低い固定資産税しか払っていない、というケースが非常にたくさんあります。

このような人たちの子供が独立し、「今の家は広すぎる。小さな家に引っ越そう。」とk考えたとしましょう。その際、次の家の予算は$800,000だったとします。Prop.13のルールによると引っ越し先の家の固定資産税評価額は購入額である$800,000 。元の家の評価額$250,000の3倍以上になります。小さい家に買い替えるのにも関わらず、固定資産税は3倍以上になってしまうのです。リタイアしている夫婦にとって固定資産税が上がるのは大問題。「家を売って利益が出るのはうれしいが、これから一生この高い固定資産税を払うのか。やっぱり売るのはやめよう。」となってしまうこともあるでしょう。そうなると大きな家が若い人たちに回ってきません。

Prop.13は固定資産税を安くするという点においてはカリフォルニア州民にとって素晴らしい制度ですが、買い替えをためらわせるため、必要な人に住宅ストックが届きにくくなるという側面もあります。このような状態を多少改善するために作られたのがProposition 19です。この州法により55才以上の人がカリフォルニア州内で自宅を買い替えた場合は、元の家の固定資産税評価額が引き継がれることになりました。つまり先ほど例にあげた、2ミリオンの家を$800,000の家に買い替える人たちの、次の家の固定資産税評価額は$250,000のままになります。元の家よりも高い家に買い替えた場合でも、超過分のみが新しい評価の対象になり、非常にお得になります。この買い替え特例は一生の間に3回使えます。

ただしこの優遇策と引き換えに、子供が自分が住んでいない不動産を親から相続する際は、相続時の時価が新たな評価額になることになってしまいました。(以前は制約はありましたが基本は親が払っていたと同じ固定資産税を引き続き払えばいいことになっていました。)

Photo by Towfiqu barbhuiya on Unsplash