地価が激安の今、ロサンゼルスでは賃貸物件を購入する人が増えています。
日本で「アパート経営」というと、中小企業のオーナーとか、昔からの地主など、お金に相当な余裕がないと出来ないような印象がありますが、ロサンゼルスではごく普通のサラリーマンの方でも結構気軽に賃貸物件を買う場合が多いようです。
という私も賃貸住宅オーナーの一人。土地バブル崩壊直後に小さなDuplexと呼ばれる、2軒で一つの建物になっている賃貸住宅を自宅付近で買いました。建物の手直しに思った以上の費用がかかりましたが、いいテナントさんに恵まれて自分の時間をほとんど使うことなく順調に経営しています。まだまだ賃貸物件は買い時なので、できればもっと物件を購入したいと思っています。
このように結構気軽に始められるアメリカでの賃貸住宅への投資。いったいいくらぐらいの利益が出るのでしょうか。
以下簡単に事例で説明してみたいと思います。
これはロサンゼルス付近で物件が安価でハイリターンが得られる割に危険はさほどでもない(個人お感覚によりますが)ために、賃貸住宅投資先として人気が非常に高いイーストロサンゼルスにあるボイルハイツ地区での事例です(住宅投資に対するリターンは地価が安く、従って治安があまりよくない地区ほど高くなる傾向があります。ハイリスク=ハイリターンというわけです。)
例えば4ユニット(全部1寝室1バスルームですが、古い建物なのでかなり広くゆとりある間取りです)のアパートを$285,000で買ったとします。
賃貸料は 1号室 $830 2号室 $820 3号室 $600 号室 $ 350 合計 月額 $2600
です。(余談ですが、同じ間取りでも賃貸料に差があるのは、ロサンゼルスではレントコントロールという決まりがあり、年間決まった割合しか値上げできないからです。オーナーが変わっても賃貸料は前オーナーの時から決まり以上に上げることはできません。一般的には古くから住んでいる人ほど賃貸料が安くなります。)
頭金30%=$85,500ドル、クロージングコストが$8,550で、30年ローンを組むとしましょう。ローンの利子率は常に変動しますが、ここでは仮に5.1%としてみます。固定資産税が購入価格の1.125%、火災保険が年$1500、庭などの掃除段が月$50とすると、ローンなどの毎月の支払いは$1525となります。つまりすべてが順調に行っているときは月額1075ドルの収入になるわけです。
テナントが出て行ってしまってしばらく空き家になってしまったときの収入減や建物の修理費用をこの収入から出さなければならないので、収入全部が利益になるわけではありません。ですが初期費用約$94,000ドルの支払いで、もしも今後土地の値上がりがインフレ率ぐらいだとしても、30年後には現在価値で$285,000の物件が手に入り、しかも毎月現在価値で$2600の収入が得られることになります。しかもそれまでの30年の間も、常に収入が毎月入ってくるわけで、「苦労してローン完済を待つ」というよりは、「収入を得ながら楽しく過ごす」というのに近いと思います。これは普通に考えて、かなりおいしい話だといわなければなりません。今あなたが30―35才だったら、定年退職後を考えるとびったりですね! そんなに若くてたくさんの貯金がある人は少ないかもしれませんが、もしもあなたがその一人だったら、ぜひ将来のためにこのような投資を考えていただけたらと思います。(ここでは頭金30%としましたが、状況によっては20%、自分でユニットの一つに住むならもっとずっと低くても大丈夫です。ご相談ください。)
今度はあなたが定年後の生活を考え始めている50才ぐらいだったとしてみましょう。アメリカではそれでも30年ローンを普通に組むことができるのですが、15年ローンにして65才ぐらいになったときにローン完済。賃貸料のすべてが懐に入ってくる(といっても修理代や固定資産税の支払いは忘れないでください)状態にしたいとします。
利子率は常に変動しますが、ここで仮に15年ローンの利子率を4.8%としてみましょう。上記と同じ条件だとすると毎月のローンなどの支払い(固定資産税、保険料など込み)は約$2000。大きな修理が出たりや空き家になったりするとマイナスになる時期もあるかもしれませんが、普通は他からの収入をどんどんつぎ込なくてはならない状況ではないと思います。
また15年、30年の長い間には現在マーケットレートの賃貸料を支払っていない2軒のテナントが必ずいつかは出て行くと思われます。そうすると賃貸料を$700ぐらい上げられるので、途中で経営はずっと楽になるはずです。上記の二つの試算は非常に固めの計算だと思ってください。
またもう一つ声を大にして言いたいのは、この物件は将来家賃を値上げできるポテンシャルがあるという点はものすごくいいのですが、現在の家賃と価格だけを比較した場合「普通の人はなかなか探せない恐ろしくお得な物件」などではない、ということです。世の中には、普通にはありえないお得な物件を例にして「ものすごく儲かる」話だけをする人がいますが、これはそうではありません。実際につい最近私がお手伝いして物件を買った人を例にして、多少数字を単純化しただけですので。
ということで、私は個人的に住宅不動産投資はとてもいい投資だと思っています。
ただ「物件を買ったエリアの治安が突然悪化、テナントがみんな出て行ってしまう」とか「全米の景気が悪化、賃貸料が半減」とかという、確率は非常に低くても絶対にありえないとはいえないリスクはもちろん存在し、ここでは書ききれませんが、そのようなリスクを減少させる方法も存在します。
投資はやはり個人責任。これまで書いてきたことも単なる試算の域を出ませんし、将来収入などを保証するものではないことをご了承ください。実際に物件を購入するにあたっては、いろいろな要素をご自分でよく考えてみる必要があると思います。ご質問があれば、いつでもお答えいたしますので、お気軽に御連絡ください。
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