A Small House

不動産購入契約の中によく出てくるのがこの「コンティンジェンシー(contingency)」という言葉。不動産契約において、とても大切なコンセプトなので、ここで簡単に説明してみたいと思います。

 

辞書で引くと、[偶然性{ぐうぜんせい}、偶発性{ぐうはつせい}、不確実性{ふかくじつ せい} 、不測の事態]}などという訳が出てきますが、不動産契約のcontingencyの説明には、あまりなっていません。むしろ不動産契約におけるコンティンジェンシーに日本語で一番近いのは「キャンセル条件」という言葉ではないかと私は思います。

売り手と買い手がエスクローに入るときに初めにサインするカリフォルニア州のスタンダードな契約書は、様々なキャンセル条件がたくさんついた条件付契約書です。それは「わかりました。絶対に購入します!!」という約束では全然なく、「○○と○○と○○と・・・がOKだったら購入します」という実に不確かな合意。気分的には「うーん、もしかして問題が全然なかったら購入・・・するかもねー。」ぐらいのものなのです。

この「○○がOKだったら」の○○にあたるものがコンティンジェンシー(キャンセル条件)。買い手はそれに満足できなかったら契約を解除してかまいません。ペナルティーも科せられません。

コンティンジェンシーはいろいろありますが、中でも一番大きいのがPhysical Inspection Contingency。当初の契約に売り手と買い手がサインをしたら、売り手は家調査の専門家(ホームインスペクター)を雇って調査を始めます。その結果はレポートにまとめられますが、もしもそこで何かの問題がみつかったら契約を解除して構いません。他に売り手の方からも、権利関係を調査したレポート、周辺の自然災害の起こりやすさなどを記したレポート、売り手が物件について知っていることを書いた書類などが届けられますが、それらも全部contingency(キャンセル条件)ですので、目を通して大丈夫かどうか確認しなければなりません。

カビは大丈夫か、下水管は壊れていないか、市からの建築許可はおりているのか、近所に性犯罪者は住んでいないか・・・。調べるべきことは数限りなくあります。しかし売り手としては、買い手が世の中に存在する全ての調査をするのを待っている訳にはいきません。そこで「調べることはたくさんあるだろうけど、調査にかけられる期間は○日間」と、コンティンジェンシーを使って契約解除できる期間(コンティンジェンシー期間)が契約書内で定められています。

このコンティンジェンシー期間はオファーに書き込んで、先に売り手が提示します。スタンダードは17日間ですが、売り手としては短いほどありがたいわけです。そこでオファーを魅力的にするために10日~12日間に設定することも多く、投資家などは1~3日で提示することもあります。(中には全キャッシュ、コンティンジェンシー一切無しというオファーを出す人もいます。)

Inspection Contingencyに並んで大切なのがローン・コンティンジェンシー。これは通常17日間で、その間にローンがおりないことが分かったらそれを理由に契約を解除できます。

このようにカリフォルニア不動産の買い手はコンティンジェンシーによって、手厚く守られています。万が一、深く考えずにオファーを出してしまってそれが仮にアクセプトされてしまっても、契約後にも考えたり、調べたりする時間がたくさん残されています。

契約手続きや解除には手間も時間もかかりますから、手当たり次第にオファーを出していいとは思いません。でも直感は大切。「これだ!」と感じたら迷い過ぎずにオファーを出すことも重要だと思います。