家を売るとき、売り手として一番気になるのは「いったいいくらで売り出したらいいのか」ということだと思います。
売り手としては不動産を可能な限り高い値段で、短時間で、できるだけ簡単に売りたいと思うのが当たり前。それを実現するのがリスティングエージェントの役目です。
可能な限り高い値段で家を売るにはどうしたらいいか。そのためにはマーケティング、家のコンディションを出来るだけよくしておくことなどなど大切なポイントがいくつもありますが、もしかすると最も大切なのが「高すぎる値段で売り出さない」ということなのかもしれません。
それでは低めの価格でマーケットに出した家は、どうして高めの価格で売れていくのでしょうか?Please click the following link and continue reading the rest of the article.
「低めの価格で出た物件は注目を集める」
バイヤーからみて「よい物件」とは、同じ内容の家よりも価格が安い物件です。バイヤーのエージェントは相場がわかっているので、「よい物件」がでると必ず自分のバイヤーに連絡します。インターネットでリスティング情報をいつもみているバイヤーも、「いい物件」がでてくるとすぐに気がつき、メモを取ったり、知人に話したりします。このように「よい物件」は、そうでない物件よりも格段に多くの人に知られることになります。物件を知っているバイヤーの数が増えるほど、きちんと購買力がある、いい値段をつけてくれるバイヤーにめぐり合う確率が高まります。
「人気物件にはリスティング価格よりも高いオファーが’出てくる」
このようにリスティング時点で注目を集めた家がオープンハウスなどをすると大勢の人が集まってきます。オープンハウスに来なかった人もエージェントが様子を観にきたり、リスティングエージェントに電話したりするので、物件への注目度合いはわかります。またバイヤーのエージェントも「これは良い物件だから人気がでて、オファーを出す人が他にもいるかもしれない」とバイヤーに忠告するでしょう。そうなるとバイヤーは「この家は人気がある家だ。競争に勝つためにはオファー価格を上げなければ」と考えるようになります。
バイヤーがオファーを出すときは、通常はマーケット価格を調査した上で適正価格でオファーしてくるので、リスティング価格がオファー価格と一致するわけではありません。人気物件だと判断されると、この適正価格に上乗せした価格が出てくる確率が高まると思います。
「カウンターオファーでさらに価格上昇」
オファーが数件集まった後は、オーナーがバイヤーにカウンターオファーを出して「もっと高い値段に変更して欲しい」という条件を出します。オファーが他に無い場合は、バイヤーが価格を変えることはめったにありませんが、バイヤーが何人もいるとほとんどの人は値段を上げてきます。そこでもともとリスティング価格より上の価格がさらに上昇する可能性があります。
「エスクローに入った後もバイヤーはプレッシャー大」
一番いいオファーを出して、勝ち残ったバイヤーは他にも買いたい人がいることが分かっています。「高い値段をはじめは言っておいて、エスクローに入ってから交渉して値段を下げてもらおう」などと考えているバイヤーも世の中にはたくさんいますが、そのような考えは人気物件には通用しません。セラーは他にも買ってくれる人がいる強い立場なので、値下げには応じません。バイヤーもそれは分かっているので、値下げ交渉はあまり起きないと思います。いい物件として市場に出ると、エスクローに入ってから金額が変わるリスクもかなり回避できます。
不動産はリスティング価格がいくらであったも、結果的にはマーケット価格周辺で売れていきますが、低めの価格で出た物件はこのような過程を経てマーケット価格を多少越える値段で取引される可能性がより高まると思います。
「高すぎる価格で売り出してしまうとあとが大変」
逆に不動産を売るときの最大の間違いは高すぎる値段で売り出してしまうことだと思います。
誰もオファーを出さないので、物件はマーケットに何週間も出たままになります。そうなると「しばらく売れてないからこれくらいの値引きには応じてくれるだろう」と思われて、リスティング価格以下でオファーが出てくるようになります。それも出てこないとなると値段を下げなくてはなりません。値段を多少下げても一度市場に出てしまった物件はもう前ほど注目されません。逆に「何か問題があるから値下げしたのでは」などと思われてしまいます。皆が何週間も’欲しがらなかった物件を欲しがる人は少ないものです。
このような状況に直面したら、大幅な値下げを敢行して「あ、この値段ならいい物件だ」と思われるようにし、そこから価格をビルドアップしていくのが得策です。このようにすれば、結果的にはマーケット価格周辺で売れるとは思いますが、それまでに長い時間がかかります。低めの価格で出したのと同じ結果を得るために、多くの無駄な時間がかかってしまうのです。またエスクローに入ってからも、立場の強いバイヤーと付き合っていかなくてはなりません。
もしも値段のつけ方で迷ったら、安い方にしておく方がリスクが少ないと思います。
リスティングエージェントを選ぶときは、エージェントが推薦するリスティング価格でエージェントを選ばないようにしましょう。エージェントの中には、高い価格を提示してセラーを喜ばせ、契約をとってしまうのが得策と考える人もいます。バイヤーの利益を真剣に考えるエージェントは、データに基づいた正直な価格を出してくるはずです。