バイヤーの陥りやすい落とし穴の一つとして、「建築許可がない増築部分がある住宅を知らずに買ってしまう」というものがあります。
南カリフォルニアの多くの地区では、住宅に増築を行うときに建築許可をとっていない住宅が非常にたくさんあります。西部無法地帯の名残なのでしょうか。ロサンゼルス市、グレンデール市、市が無いためにロサンゼルスカウンティが直接管轄してるアルタデナ、ラクレセンタの一部、パサデナの一部などは増築に関しては、建築法無法地帯といってもいいかもしれません。
オープンハウスなどで「ボーナスルーム」などと呼ばれている部屋を見たことがある人も多いと思いますが、建築許可がない居住スペースがついている家は実は非常にたくさんあります。部屋が1部屋付け足してあったり、屋根裏が寝室に改造されているぐらいはかわいいもので、中には許可のない別棟が裏庭に建っているものも。全ての部分に建築許可がある家だけを購入対象としていると、家探しが難しくなってしまうほどです。
建築許可がない増築の問題は:i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i
1.増築部分が安全なものであるのかが分からない。検査官がチェックをしていないので、柱や梁の大きさ、基礎の構造、電気関係などが建築基準に見合っているかどうかわかりません。
2.行政に増築前の状況への復帰(取り壊し)命じられたり、今から建築許可をとるように命令される可能性がある。(後付けで建築許可を取るためには、現在の建築基準に建物の構造などが合っている必要があります。敷地境界線からのセットバックや、構造部分などに問題がある場合は建築許可を取る事は難しい場合があります。また構造などのチェックのために壁などを取り外す必要があり、後付けで建築許可をとるのは非常に困難で複雑なプロセスになり、“できない場合が多い”と考えておいた方がいいと思います。)自治体の検査官は勝手に家に踏み込んでくることはできませんが、家の他の部分の建築許可をとった折などに、増築に許可がないことを指摘される可能性があります。(通常は検査官は自分の担当部分しかみないので、許可なし増築が見つかってしまう可能性は現状では低くなっています。) 近隣の人などに違反を通報される場合もあります。
3.増築部分内、あるいは増築部分に起因した事故災害が住宅保険の対象になるのかどうかが不透明。
4.許可がない増築部分は価格査定の評価に含まれない。仮に2000SQFTの家のうち、500SQFTが許可がない増築だとすると、その家は1500SQFTの家だとみなされて価格査定されます。(ただしあまりにも増築が大きい場合、価格査定で問題になるケースもあると聞いていますが、実際のところはケースバイケースだと思います。)
5.許可なしの増築がある家を賃貸した場合、賃貸人に通報される可能性がある。また事故などが起こったときに、家主の責任がどのように問われるかが不透明。
などで、かなりいろいろと心配事が起きてきます。
しかも建築許可がない増築への対応は基本的には現在のオーナーの責任。「自分が増築をしたのではない」と言い張っても、責任を逃れることはできません。
ただし、許可なし増築がない家を購入対象からすべて外してしまうと、買える家の数が少なくなってしまうのも事実。許可なし増築のリスクをどのように捉えるかは、人によって異なると思いますが、まずは以下の項目について考えてみましょう。
1.家のどこが許可なしの増築なのかを把握。
2.万が一、許可なし増築部分を壊して増築以前の状態に戻すことになったら、金銭的および建物の構造や間取り的に対応できるか考えてみる。また、増築部分を取り除いた後の家が購入金額に見合った家であり、増築部分が無くても自分の生活に支障がないことを確認する。
3.増築部分に安全性や機能面に支障がないかを確認。
4.現在行政からの取り壊しなどの命令が出ていないことを確認。
上記をよく考えた上、「これくらいのリスクなら大丈夫」と自分で本当に思えるのなら、購入を考慮してもいいのではないでしょうか。南カリフォルニアでは、多くの許可なし増築付き不動産が普通に売買されていて、住宅ローンを組む場合も問題が起きることはほとんどありません。特に、
1.許可なし増築部分の面積的が非常に小さい。
2.元パティオなどで床壁の一部や屋根はもとからある。
3.家全体の面積は同じで、家の内部を壁で仕切って許可がない部屋を作っている。あるいは元からあった屋根裏や地下室などを居住スペースに転用している。
4.増築部分が母屋からある程度独立していて、仮にそこがなくなっても母屋に影響が少ない。
などの場合はリスクを了解したうえで購入する方も多いように思います。
次回はこのような許可なし増築の有無をどうやって確認するのかをご紹介します。