少し落ち着いてきたとはいえ、南カリフォルニアは売り手市場。適正価格で住宅を売り出せば短期間で複数のオファーが来ることが多々あります。もしも、あなたが住宅を売り出していいて、複数のオファーが来たらどうしますか? 対応の仕方は大きく分けると以下の4つになります。(バイヤーの方も、オファーがどのように受け止められるかが分かると役立つ場合もあると思いますので、お時間があったらぜひ読んでみてください。)
1.どのオファーも受け付けない
提出されるオファーの全てが適切な価格とは限りません。提出されたオファーのどれもがあまりにもかけ離れて低い価格だったり、バイヤーに購入する能力があると思えない場合は、提出されたオファーをすべて却下し、より良いオファーが来るのを待つ選択肢もあります。ただしこのような対応をする前に、現在のリスティンング価格が本当に市場にあった価格なのかどうかを、まずよく検討する必要があります。i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i
2.一番良いオファーにサインをし、契約を成立させる
提出されたオファーの価格やその他の条件が願ってもない素晴らしいものであった場合、そのオファーにサインをすればその場で契約が成立したことになります。バイヤーはオファーを提出した後も(例えば翌日に素晴らしい物件が出てきた場合、いくつかの物件を比較検討している場合など)、契約が成立するまでならキャンセルすることが可能です。このように契約をその場で成立させてしまえば、バイヤーの気が変わってしまう、などのリスクは無くなることになります。(バイヤーはエスクロー期間内にコンティンジェンシーを使ってキャンセルすることはできます。)
3.一番良いオファーにのみカウンターオファーを出す
提出されたオファーの中に、一つ良いオファーがあったとします。ただ、そのオファーのエスクロー期間が70日で長すぎたとしましょう。その場合は、そのオファーを出したバイヤーに「エスクロー期間を45日にすること」などというカウンターオファーを出すことができます。これにバイヤーがサインをすれば、契約が正立します。この方法は2とは違って、バイヤーのコートにボールが戻ってしまいます。バイヤーの気が変わって、カウンターオファーに返事をしないケースもあり得ますが、複数のオファーの中で自分のオファーが選択され、あと一歩で契約成立にこぎつけられるわけですから、通常は積極的に対応してくると思われます。場合によっては、バイヤーからの「エスクロー期間は60日にします」などというさらなるカウンターオファーが返ってくることもあります。このようなやりとりをやっている間、他のバイヤーにはこちらからは積極的に連絡をしないことになります。(“オファーを出してもなかなか返事がない”という経験を持つバイヤーの方も多いと思いますが、そのような場合は他のバイヤーとの水面下の交渉がこのように行われているケースがかなりあると思われます。)
4.複数のバイヤーにカウンターオファーを出す
通常は提出されたオファーのうちのトップ3、場合によっては全部のオファーにカウンターオファーを出すことも可能です。その場合、「価格は最高値を出し直すこと、エスクローは21日間、修理費は出しません」などなど、こちらの希望条件をリストするのが普通です。●ドル以上、などと具体的な価格を提示することもよく行われています。このようなカウンターオファーを受け取ると、「やっぱり人気物件なのだな。少し無理でも最高値で買おう。」と元の価格よりもかなり高い額を出してくるバイヤーもいます。それとは逆に、「要求が高すぎて無理。」「自分としてはベストの条件を提示したのに尊重されなかった。そこまでして買いたくない。別の物件にしよう。」などと考えて、条件がいいバイヤーが戻ってこない可能性もあることに注意してください。各バイヤーエージェントとの関係をうまく構築して、このような反応を先方が起こさないように何とか話を持っていくのが私の役目ではありますが、いかんともしがたい場合もあります。カウンターオファーをあまり欲張ったものにすると、このようなリスクが増加します。
それぞれのバイヤーに出すカウンターオファーは全部が同じものでなくても構いません。例えば価格がトップのバイヤーに対しては、上記のようなネガティブな反応を避けるために「最高価格を出し直すこと」という条件は省くケースも多いと思います。カウンターオファーが戻ってきたら、通常はその中で最も条件が良いものを選んで契約します。(場合によってはそれらに対してさらにカウンターオファーをだすことも可能です。)
“家を売る”ということを念頭に置くと、上記2~4のうち、セラーにとって最も“安全”なのは2でしょう。何しろその場で契約が成立してしまうわけですから。次に安全なのは3、その次が4ということになります。価格重視の場合は4が有利で、次が3、最後が2だと思います。
例えばオファーが2件しかなく、そのうちの一件はあまりぱっとしないオファーで、もう一件が自分の目標販売額を超えていて、しかもその他の条件も非常に良い場合は、最高値のバイヤーを逃さないことが重要だと思います。このような時は2か3を選択することを検討していいと思います。あるいは二つのオファーの価格差が大きく、2番手の人がかなり頑張ってもどのみちトップのオファーを超えられないと考えられる場合も、2か3の選択肢を検討することになると思います。ただし、残りのバイヤーにカウンターオファーを出さなかった場合、もしもそのバイヤーがカウンターオファーを受け取ったらどうしたかは、永久に知ることができないことになります。「もしもあの時カウンターを出していたら、あのバイヤーがさらに高い値段を提示したかもしれない。」という疑念は、人によっては販売が完了してからも頭の中に残ってしまうかもしれません。
反対にオファーが5件もあって、どれもが似たりよったり、どんぐりの背比べ状態の場合はどれが逃げてしまってもいいわけですから、4を選択することになると思います。マーケットが過熱していて、すぐに似たようなバイヤーを見つけられると思えるときは、あまり心配しないで4を選択していいのではないかと思います。