頭金の率を高くする&アプレーザル(査定)をコンティンジェンシーにしない
セラーに提出するオファーの第一ページ目には、購入価格とともに「そのうちいくらが頭金=down paymentなのか」を書き込むようになっています。セラーには頭金の率はが高いほど”いいオファー“と見なされます。
頭金の標準は20%ですが、現在の超低金利では「頭金は抑えて出来るだけ多く借りた方が得」と思う人もいるかもしれません。でもできればオファーで提示する頭金はできるだけ高くしましょう。頭金が高いローンは通りやすく、セラーに受けがいいからです。
とくに最近は、セラーにとって頭金の率が以前にも増して大切になっています。その理由はずばりアプレーザル(査定)。家の査定は、周囲の家の過去の販売価格を元に行われます。価格が上昇中の現在では、市場価格が過去の価格を上回ります。そのため購入額が査定結果を大幅に上回る、という事態が頻発しているのです。
ローン会社は査定額が家の価格だと見なします。よってローンは査定額で家が販売されたのと同じようにしか組めません。査定額と購入額の差は、バイヤーがキャッシュで補わなければならなくなります。(ちょっと前までは、査定が低いとセラーに文句を言って価格を下げてもらったものでした・・・今でもそういうことが出来る場合もあるかもしれませんが、人気エリアでオファーがいくつもあるような物件や他に全キャッシュオファーがある場合はたぶん無理です・・)
以下の例を見てください。
購入額 $900,000
バイヤーが提示した頭金率 30% = $270,000
査定額 $840,000
このような場合は以下のように処理されます。
査定額と購入額の差額を補うキャッシュ_$60,000
ローンの頭金と見なされるキャッシュ $210,000 (25%)
ローン額 $630,000
この場合、頭金が比較的大きいので差額をキャッシュで補っても頭金率は25%で問題なくローンが組めます。ところが、頭金がぎりぎりの20%などだと、差額を補ったあとは頭金が20%を割ってしまいます。そうなるとモーゲージ保険(MI)がローン支払額に上乗せされてしまい、月々の支払額が上昇してローンを組むのが難しくなる、という事態が起こりえます。
このような事情ですので、セラーにとって「バイヤーはキャッシュをいくらこの契約に注ぎ込むつもりなのか」は非常に大切なのです。他にオファーがいくつもある場合は、頭金の率はできるだけ高くしましょう。
また、最近では査定額が契約額を下回る事態が頻発しているので、査定額をコンティンジェンシーにする(=「査定額が購入額を下回ったら契約を解除できる」という条項を契約に盛り込む)と、非常に弱いオファーになってしまいます。ただし、この条項を外すことにはリスクが伴います。これについては、また近日中に書きたいと思います。