答え:ありません!

家の売買というのはお店で掃除機や洗濯機を買うのとは大きく異なります。壊れている掃除機や洗濯機を買わされたら誰でも怒ると思いますが、不動産とは実は「壊れたまま」売って当たり前の商品。新築なら多少話は別かもしれませんが、ほとんどの不動産は建ってから長い年月が経っているので、ホームインスペクターが調査をすれば現在の基準などに合わない箇所が山のように出てくるのが普通です。そのような修理箇所を全部売り手が直すなどは到底期待できません。Please click the following link to read the rest of the article.

お客様の中には「壊れている家を売るとは何事だ」とか、「明らかに欠陥があるのに修理費を出さないなど、売り手が間違っている」などと憤慨されてしまう方も稀にいらっしゃいますが、それは不動産取引と普通の物品の売買を同じと見てしまう考え方からきているように思われます。現代の消費者はいろいろな法律で守られているので、お店で壊れたものを買わされ、しかもそれを直してもらえないなどは考えられません。ところが、不動産の売り手には「欠陥が無い状態で家を売る」などという義務は全くなく、「知っている問題があったら必ず知らせる」「買い手が自由に家や周辺の状態をチェックできる機会を与える」という義務しかありません。つまりこのような義務さえ果たせば、どのような欠陥住宅であっても売って構わないのです。事実、半分火事で焼けた家、雨漏りのためにカビで部屋が覆われた家なども普通に取引されています。

買い手は調査期間に出来るだけの調査をし、その結果を見て予想外の大きな欠陥があれば修理や修理代を請求します。売り手はその請求に応じても応じなくてもよく、買い手はその反応を見て、買うのか、買わないのかを決めることになります。

それでは売り手が修理や修理費請求に応じることが期待できる家の欠陥とはどういうものなのでしょうか。例えばロサンゼルス周辺では平均的な築60年程度の家を買うとしましょう。築60年の家に普通に起きる消耗による問題、いわゆる「ガタがきている」状態に対する修理は「築60年なんだからしょうがないだろう」といわれてしまうだけでなかなか修理に応じてはもらえません。また家を見たときに専門家でなくてもすぐ分かったはずの問題も「家を見に来たときに分かったはずなのに、何で今頃文句をいうのだろう」と思われてしまいます。売り手が「これは言われてもしかながない」と思うのは、それ以外の普通のアメリカ人の常識から見て「予想外」の問題。売り手が値段をつけた時点で築年数などからは予想できなかった欠陥で、例えば「床下をチェックしてみたら基礎にヒビが入っていた」とか、「家から出ている下水管が割れていて掘って取り替える必要アリ」などがそれにあたります。

現在は売り物件が少ないのに家を買いたい人はたくさんいる「売り手市場」です。一つの家にいくつものオファーが集まる状態なので、家の欠陥が見つかってもその修理の請求に応じる売り手はなかなかいなくなっています。その欠陥を公開してもう一度マーケットに物件を戻せば、またたくさん買い手が集まってくるからです。

オファーを出すときは、上記を考慮に入れた上で金額を考えるようにしましょう。またこれから家を売ろうとしている人の場合は、「これは言われてもしかたがない」と思うような欠陥を事前に全部見つけておき、あらかじめ買い手に知らせておくのがいいと思います。売り手市場の場合は、買い手がまだ他の買い手と競争している状態の中で欠陥を知らせておいた方が、買い手に納得させやすく、時間の節約になるからです。