カリフォルニアでは、オファーを提出するときには住宅ローンのプリアプルーバルレターを添付するのが常識になっています。ところが、最近ではプリアプルーバルレターを1通ではなく、二通添付することを求められるケースがかなり多くなっています。しかもその2通目は、セラーが指定したローン会社やローン担当者からもらってくれ、と指定されることが多々あります。

バイヤーにとっては、面倒なのはもちろん、何か納得いきませんよね。自分の選んだローン会社がきちんと審査し、ローンを貸してくれると宣言していたら、他のローン会社の審査など関係ない・・・はずです。どうしてまた、書類を全部提出し直して、別のプリアプルーバルレターをもらわなければならないのでしょうか。

でもここで、気を落ち着けてちょっと考えて見ましょう。セラーはなにも、その指定のローン会社からローンを借りてくれと言っているわけではありません。2社から許可が出ていれば、途中で万が一何かあった場合、もう一社に急所乗り換えることも検討可能なわけで、「ダブルアプルーブ」は実は賢い方法でもあります。もう一つの利点は、2つのブローカーやローン会社を通すことで、ローン二つを比較することが可能になるという点です。いってみればコントラクターから見積もりを二つ取り寄せているのと同じことなので、賢い選択ができるようになります。(とはいえ、オファーがアクセプトされた瞬間には、どこを使うか決心が固まっている必要があります! そうでないと期限までにクローズできない可能性大です。)

セラーは何もバイヤーを信用していないわけではありません。セラーが全般の信頼を置けないと感じている対象はむしろローン業界なのです。現在、ローン業界にはいろいろなレベルのプロがいます。本当に良心的で正直で信頼できるブローカー、ローン担当者が大半なのはもちろんですが、中にはプリアプルーバルを出す時の審査が他よりも非常に甘いローン会社やローン担当者があることも否定できません。

通常、ローン担当者はタックスリターンや給与明細を仔細に検討し、問題が起こらないことを真剣に検討してからレターを発行しますが、中には単に収入などを口頭で質問するだけのところもあるとききます。セラーはバイヤーが使う予定のローン会社については何も事前に知らないのが普通ですから、そのローン会社が信頼できるところなのかどうか、分かりようがありません。そこで、リスティングエージェントがよく知っていて、きちんと審査をすると分かっているローン担当者を指定し、そこからもレターをもらうようにと言ってくるわけです。

一般的には、一通目のプリアプルーバルレターがローンブローカーからのもので、「ディレクトレンダー」からではない場合、ディレクトレンダーからのレターをもらって欲しいといわれることが多いと思います。ディレクトレンダーとは自分の会社から実際にローンを発行する会社で、多くのローン担当者を抱えています。ブローカーとはいろいろなローン会社からローンを取り寄せる「代理店」で、通常は個人営業です。もしもブローカーが旅行代理店なら、ディレクトレンダーは航空会社にあたります。

ブローカーからのレターは「私はこの人にお金を貸します!」と言っているのではなく、「私はこの人にお金を貸す人を探してきます!」と言っているわけなので、やはりディレクトレンダーのレターよりは弱くなってしまうのです。またブローカーはローン会社内部の人ではないので、ローン手続きを早く完了するのにも、内部の人よりも影響力が弱いと思われがちです。

また同じディレクトレンダーでも、バンク・オブ・アメリカなどの誰もが名前を知っている銀行でない場合はセラーへの説得力が弱くなり、セラーがよく知っているローン会社や銀行からのレターを追加でもらって欲しいといわれる可能性が高くなります。

一番賢い方法は、一つ目のローン審査時に提出した書類をすべてコピーし、封筒に入れて保管しておくことです。もしも書類をメールしたのなら、そのメールを一箇所にまとめておきましょう。こうしておけば二つ目のレターをもらうときには、その封筒をそのまま渡すか、メールを単に転送するだけで済みます。書類が一式揃っていれば、審査には24時間ぐらいしかかかりません。

手際よく進めれば、レターをもう一つもらうのはそんなに大変な作業ではありません。むしろ競争相手のバイヤーが減る、いいチャンスだと考えましょう!