お子さんがいる方がアメリカで家を買うとき、まず考えるのが学校区。公立校の水準が高い日本に慣れた日本人の場合、「教育費の負担を考えると、子供は出来れば公立校へ行かせたい」と考える方がかなりいらっしゃいます。

 ただ公立校の水準が高いエリアは、地価が高いのも事実。例えばパサデナ(Pasadena)とサンマリノ(San Marino)の境界線あたりでは、住環境は似ているのに学校区がすばらしいサンマリノ側の方が住宅価格が俄然高くなっています。そのため、しばらく家探しをするうちに「学校は置いといて、とにかく予算内で一番いい家を買うのが得策ではないか」と迷い出す方もいらっしゃいます。

 学校区に満足できない場所に家を買うと、子供を将来的には私立にいかせる算段をしなければなりません。そこで問題になるのが「私立校の授業費」。いったいいくらぐらいか、見当もつかないという方も多いのではないでしょうか。

 そこでここではCalifornia州の私立校協会(National Association of Independent Schools)の、カリフォルニア私立校の授業費などの2011から2012年の統計を見てみたいと思います。http://www.nais.org/files/PDFs/CAISCAFactsAtAGlanceNoSal201112.pdf

 この協会に属している学校は177校。生徒の人種統計によると、やはりマイナリティの子供は少なく、全体の約36%。アジア系はマイナリティの中では最高の11%を占めています。

 生徒のうち22%はなんらかの補助金を受け取っています。私立校の子供全部がリッチな家庭から来ているわけではないわけですね。

 クラスあたりの子供の数中間値はなんと17人。高校生だと1クラス15人になっています。30人から40人詰め込まれる公立高校とは大違いです。先生一人当たりの子供の数は約9人。アシスタントなどのスタッフを入れると一人当たりの子供の数は5.4人。これなら本当に一人ひとりの子供に目が届くと思います。

 コンピューターの数は二人に一台。これも公立高校では望めない水準です。

 さて気になる授業料ですが、1、3年生の授業料中間値は$19,950, 6,8年生は$22,618、9と12年生は$29,375になっています。(寮に子供をいれるボーディングスクールを除く)全学年の中間値は$22,488。月に割ると$1874で、やはりかなりの額になりますね! 

 子供二人を小学校から高校まで12年間私立校に行かせると、この統計によるとトータルで$539,000かかることになります。これには将来の授業料値上がり分、多少はどうしてもしなければならない寄付、教材費、学校主催の子供の旅行代金(かなりの額になります)、放課後のクラブ活動費などは含まれていません。

 私立高校のレベルや授業料はピンきりですので、私立の中でも平均以上のところだと、授業料もこれ以上かかるのではないかと思われます。またロサンゼルスはカリフォルニアの中でも、何もかも他地区よりも高いですよね・・・。(宗教ベースの学校(カトリック学校など)は一般私立よりもかなり安いですが、とくにこれといった宗教活動をしてこなかった方がいきなり入るのは抵抗があるのではないかと思います。)

 ということで、上記から非常に単純に見ると「学校区に満足できるエリアの家が、それ以外の地区の同じような住環境の家よりも約$600,000高いのであればどちらでも同じ。もしも価格差が$600,000以内ならいい学校区のいい家を選ぶ」という考え方もあると思います。

 例えばロサンゼルスのマウントワシントン地区(Mt. Washington) の丘の上と、ラキャナダ(La Canada)のフリントリッジ(Flintridge)地区の丘の上は地形や眺めがいい点などが非常に似ています。ただしマウントワシントンだと$600,000ぐらいで3寝室の購入が可能だと思いますが、これが学校区が非常にいいラキャナダ地区だと$1,200,000ぐらいからになります。家の価格というものは、みんなが迷いやすいように決まっているものですね~。

 授業料に払ってしまったお金は絶対に戻ってきませんが、家に払ったお金は家を売れば地価が落ちない限り戻ってきます。それに$1,100,000のラキャナダの家は$600,000のマウントワシントンの家よりも広くてゴージャス。もしもローンが組めるのであれば、思い切ってハイエンドなエリアに家を構える方がいいのかもしれません。

 その一方、アメリカの場合「どんなにいい公立校でもいい私立には劣る」と考える方がたくさんいますし、事実その通りなのかもしれません。「家の支払いを節約して子供を私立に入れた方がいい」という考え方も一理あります。

 いやあ、迷うところですね!